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執筆者の写真 Jiro Sakamoto

第34話、地下ストリップクラブに監禁されて危機一髪だった話。

沿ドニエストル共和国、国際的にはモルドバの一部とみなされている未承認国家。



ソ連が崩壊した後にモルドバは独立を果たしたんだけど、ここら辺一帯はロシア人が住んでたらしく、ルーマニア系の多いモルドバと一緒になりたくないということで、独立宣言をし続けているエリア。


実際にモルドバとの国境もあり、自国通貨もある。国際的には認められてなくても事実上独立状態になっている。

(この辺、ロシアとかかわりのあるエリアは複雑な歴史と国境線があり、いまだに解決しない問題ばかりである。)


そんなところをルーマニアやウクライナやポーランド人の旅人達と散策していた。

僕からしたらソ連はちょっと遠い存在なんだけど、東ヨーロッパの彼らからすれば、ソ連は崩壊しているのにいまだにソ連の国旗を掲げていたりするあたり、まさにタイムスリップそのものなんだろう。





そこで事件は起きた。



ドローカルな食堂に入ってみて、、、チキンを注文したら、なんと、石が入っていたのか何なのか、僕の歯は砕けてしまった。



そんなことは初めてだった・・・しかし、その時の僕はびっくりしたというより旅のネタができたと笑えるくらいまでになっていた。





流石にその沿ドニエストル共和国の滞在期間はものすごく短く設定されてたし言葉もなかなか通じないもので、モルドバの首都キシナウにて歯の治療をすることになった。



(お世話になった歯医者さん)


歯の治療のため2週間くらい長期滞在していたものだったので、ここでも一カ所に腰を据えて地元の人達と交流をしていた。






ここで僕の旅人としての親友あるオランダ人のJoueriと出会った。

彼とは次の年オランダで彼の家族にお世話になり、その次の年は日本を旅した時に八女に来てくれて、その次の年は南米をしばらく旅をした、一緒にムヒカ大統領に会いに行ったりもした。



 


そして、ある夜・・・・またしても事件は起きた。



その前に・・・前提として、『君子危うきに近寄らず』怪しいと思ったりアブナイと思うことから距離を置いているのが賢い生き方ではあるんだけど。


もちろんそれはわかってるし旅においてももちろんそうだけど、それで少しでも変な人と思った人すべてから距離を置いているってのもそれはそれで寂しいことである。


僕はある程度色んな人とコミュニケーションをとって普通の旅行者以上に一歩も二歩も踏み込んでいて交流していたと思う。


ここモルドバではバーで仲良くなった警察のオッサンと一緒に遊んでて、その警察のおっさんのくるまに乗ってはスピード違反で警察に捕まり、賄賂あげて見逃してもらったりした現場も目撃した。





そんなのは僕の旅では特別なことではなかった。だから言い訳かもしれないけれど・・・怪しい人というか変な人でものすごくいい人にばかり出会っていたもので、そういう感覚がマヒしていてわからなくなっていたんだと思う。




とある集まり、カウチサーフィンというバックパッカー愛用するSNSのオフ会があって、その会の集まりの後、帰路についていた時・・・




信号で待っていると、何気に隣のオッサンが声かけてきてくれてきた


『おお外国人か?どこから来たんだ?』


「ジャパンだよ!オッサンは?」


『俺はもともとエジプトからだよ、ここで働いてるんだ』


といった感じ、、最近はスマホが普及されすぎたのか、海外でのこういった絡みはめっきり減ったものの、当時の感覚ではものすごく自然な流れだった。


『こんな夜にどこに行ってるんだ』


「さっき友達との集まりがあって、今は岐路に帰ってんだよ、オッサンは?」


『おお俺か、今から仕事に向かってるんだ、近くのバーで働いてるんだ、もしよかったら一杯飲んでかないか?』


「へぇー、そうなんだ、まあこのまままっすぐ帰るのもアレだし、そうだね、せっかくだし一杯ぐらいやっていくよ」



そして、オッサンと仲良くなりながら、ついていくと、、なんとそこは地下。




Cafe Juliaと書いてある、カラオケもできるようだ。


バーを開けてみると、、、、お姉ちゃんがポールダンスをしている店だった。




・・・・・・・???




「オッサンこの店って、ストリップバー??ごめん、こんなところで遊ぶお金もってきてないんだ」


『ああ、いいんだ、別にまだお客さんもそんなに入ってるわけじゃないから、まあ座って座って自分の飲みたい分だけ払えばいいから』


というもので、まあそういうのであれば・・・おとなしく座ってメニューを見てみると、ビール一杯500円くらい、モルドバにしては高いけれど、まあこういうところだから仕方ないね。



ということでビールを一本注文した。



しばらくすると他の客も入ってきたのかな、ストリップショーも始まったのでしばらく一人で飲みながらショーを楽しんだ。(僕も健全な男の子なので!)



すると、、、そのお姉ちゃんが二人僕の席へ座ってきた・・・




????




「ちょっとちょっと、オッサン、俺こんな高そうなお姉ちゃん隣に座らせて遊べるほどのお金、本当に持ってきてないよ、大丈夫??」




『まあ、いいからいいから、別に彼女たちの分は払わなくていいんだよ、自分のビールだけでいいから!!』




いいのか???




そうしてその姉ちゃんたちとしばらくおしゃべりをしていると・・・お姉ちゃんたちは何か酒を開けて飲んでいた。



しばらくたった後

『さすがにビール一杯でこんなに長居したら失礼だよな、お会計済ませて帰ろうかな』


と思って定員さんを呼ぶと



持ってきた請求額は約3万円くらいと提示された・・・




えっ???



どういうこと???



「ちょっとちょっと、ここのスタッフのエジプト人のオッサンを呼んでくれ」



と言ってみた、すると




『そんな奴はここでは働いていない!!!』




と言われた・・・・一瞬で事態を把握した、ぼったくりバーだ!!!

ハメられた!!!!




周りを見渡してみると、自分以外に客はいない、もしかしてさっきの客までグルだったのか??まあそれはどうでもいい。




しかし・・・・




僕もその時は旅人として玄人の域にいたもので、こういう時の備えもできていた

けして東ヨーロッパの旅をなめていたわけではない



財布の中身は・・・残りの所持金は1000円ちょっと、そしてニセ身分証明書、ニセクレジットカードがあった。

そして、路上の物売りから買ったボロいケータイ電話くらいかな。





とにかく、、、現金はそれだけしか持ってないから、仮に払いたくても払えない。




そして入り口には鍵がかけられて、頑丈なガードがいた、これでは逃げれない





なんてことだ、どうやら完全に監禁されてしまったようだ!!!!




『払えば帰してやる』という。



「わかったよ、じゃあこのクレジットカードで払うから」



といってニセクレジットカードを差し出した、当たり前だけどそれでは反応しない・・・



「あれー、おかしいなー、なんでその機械反応してくれないの?」ととぼける。



「わかった、今所持金これしかないから、、お金取ってくるから宿に帰らせてよ、はいこの身分証明書預けとくから」



といってニセIDも差し出した



『いや帰さない、お前、逃げるつもりだろ』



まあ、もちろんそう言ってくるよな・・・



『お前、友達いるだろ、呼べよ、お金持ってこいと』



「いやいや、一人旅だって!!」



『嘘つくな!男一人でこんなところ来る奴なんていないだろ』



うーん、そうなのか??



しかしこれではどうやっても帰れないな、というかもう諦めて払いたくても払えない。


何度か押し問答をしたけれど、何の進展もない。


払えば帰してやる、払わなければ帰さないという。


ここまで来た以上もうこっちも払って終わりたいところだけど、払いたくても払えない状況、これはかなり困った。



そこで冷静になって。


まあ向こうも僕の命が欲しいわけではなく、お金が欲しいわけだから変に感情を逆なでせず、向こうが諦めるまで待つ作戦で行くことにした。

ふんぞりかえってソファーに座った。



そして路上で買ったケータイを取り出し、少ない写真を一人の陽気なスタッフとシェアしていると・・・




いきなりそのボロケータイを奪い取られ、バトンパスで後ろまで持っていかれた。

いきなりだったので驚いた。



そして、こう言ってきた。


『このケータイが返してほしければお前の仲間を呼べ、いらないのであれば、そこのドアが開いているから帰ってもいいぞ』



と言ってきた、、、入り口のドアを見てみると、、、そのボティガードがこちらをおちょくるようにドアを開けていた。




そこから入り口のドアまで距離にして3~5mくらいだったか・・・



これは、、、、たった一瞬のチャンスだと思った。



この距離なら、その屈強なガードが反応するよりも早く、最高速度でそこに突進して行けば、脱出できるだろう・・・




今だ!!!




全神経をその時に集中させ、持てる限り最大の脚力でドアまで突き進んだ。


ガードは閉めようとしたけれど、こっちの勢いのほうが強かった。





うまく脱出できた後は、持てる限りの最高速度でとにかく走り抜けた・・・・



『あいつを捕まえろ!!』みたいなことを言って騒いでいたと思うけれど、オッサンやおねーちゃんたちには走りでは負けない。(当時28歳、とにかく一番強い時期だった)



そして何とか、宿まで走って・・・・無事に帰り着くことができた・・・





ああ、助かった~、危機一髪だった




ちょうど歯の治療も終わってたこともあって、さすがにここにこれ以上いるのは危険かもしれないと思い。


次の日にはモルドバを脱出し、次の国へ向かうことになった。





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