ニュージーランドワーホリを終え、東南アジアを少し周遊した後にヨーロッパにとんだ。

世界二周目。
28歳、体力も勇気も行動力もコミュニケーション力も最も充実していた時期だったし、旅人としても玄人の域に達していたと思う。
職なし、学歴なし、彼女なし、失うものもなし、怖いものなし。
それはもっとも無敵だった瞬間。
旅中にひらめいたアイデア、このヨーロッパの旅に折り畳み自転車を新調した。

(ベルリンの壁)
普通のバックパッカースタイルに折り畳み自転車が備わる。
このスタイルは特にヨーロッパにおいてものすごく効力を発揮する。
というのも僕は、貧乏旅行をしていた、でもただ単にフラフラしてるわけじゃなく、行きたいところは全部行くというスタイルだった。
そうなると、宿代や交通費、そして観光地への入場料がかかったりする。


野宿上等、屋台上等(ヨーロッパはケバブ)、レストランは基本行かずにスーパーで買った生野菜をかじる、泊まるところは基本最安値、ヒッチハイク、もしくは最安値の交通手段。
(でも旅先で出会った人との交際費はケチらなかった。)
そこに折り畳み自転車を活用することにより、、、

例えば、空港から町までの高い交通費がかからない。
基本、その町ごとの交通費はかからない。
泊まれる値段の宿がない時は(1000円以上は基本払わない)、どこか郊外まで行って安全なところを探して野宿したり。空港までわざわざ自転車でいって空港泊なんてのもやった。
自転車を折りたたんで、バスや電車に乗って次の町でまた自転車を走らせたりすることもできるし、郊外まで自転車で走り、そこからヒッチハイクなんていうコンボ技も可能。
そして何より、ヨーロッパ中のどこの都市にいっても泊めてくれる知り合いがすでにできていた。

このやりかたで行けば物価の高いヨーロッパ周遊もおそるるに足らず、といった感じだった。

(変な自転車だからどこに行っても人気者)

(貧乏旅行の小技の一つ、こんな感じでカウチサーフィンマークをもって路上に座っていて、そこで仲良くなった地元の人に拾って泊めてもらえたりもした)
しかし・・・・
やっぱり落とし穴たる事件は起きた。
スロバキアからポーランドへ入るときだった。
普通に陸路でヒッチハイクで行くのもよかったんだけど。
そこにRysyという国境の山があった。
スロバキアの登山道から入り、頂上の山小屋に一泊して、ポーランドの登山道に降りていくという美しい国境越えルート。
ここを、登山してポーランドへ入国しようと思った。
そうなったら折り畳み自転車やパソコンなど、登山に不必要な荷物を前もって全部ポーランドの友人のところへ送ればいいんだけど、、、
何というかその・・・・送料がのすごく高くつくもんでついw
荷物をすべてバックパックに詰め込み、2日分の食糧、そして自転車も担いで登ることにした。


自転車を担いで登山をするなんて・・・もはや前代未聞のアホである。
折り畳み自転車はそんなに高価なものではないから15kg以上はあった。
そして当時はスマホなんかではなく、パソコンとか持ち歩いていたものだから、おそらく総重量40kgくらいいってたんじゃないかと思う。

それで2500m越えの山を登る、、、、後半はトレイルが岩でごつごつしていたし、途中でロープで岩登りするような場面もあったりしたけれど、バックパック、サブバック、折り畳み自転車を担いで登るというのはドМだから成し遂げれる業だった。
元自衛官であり旅の玄人、その時の屈強な体力をもってすればこの手の山なんていうのは楽に登れるんだろうけれど、この荷物の量はさすがにしんどかった。
もう、登山の専門家が見たら怒られるであろう、体力と若さに任せたデタラメなやり方だ・・・
そして、体力の限界を感じつつも、何とか満身創痍で頂上へと到着することができた。
もちろん、他にも登山客はいっぱいいて・・・、何故こんな山の頂上に自転車を持ってきているのか不思議に思われながらも、拍手喝采を浴びて人気者になった。

そして・・・山小屋に一泊した次の日、、、
山越えでポーランド入国、、、
そして、ポーランド側の登山口へ着いたとき、、ヘロヘロになりながら、そこからクラコウという町を目指して下り坂を自転車を走らせていた・・・・
すると、山道を下るとき、道が危険だったというわけではないんだけど、疲労困憊からなのか少し油断をしてしまい、ちょっと急カーブで道から乗り出して道路の脇から落ちそうになってしまう・・・
おっとあぶない!!!
それなりに運動神経には自信過剰である僕はとっさに判断して落ちなかったんだけど、自転車から飛び降りてしまったため、そのまま自転車は道を乗り出して谷底までまっさかさまで落ちていってしまった・・・
あああああああああああああああああああ
ジーサス!!!!
やっちまった!!!!!
冷静になってゆっくり谷底まで下りて行って自転車を救出しに行った・・・しかし
こうなっていた・・・(泣)

チーン
悔やんでも悔やみきれぬ一瞬の気の緩み、、、、
ああ、数か月一緒に旅した相棒が・・・
しかし、不幸中の幸いは、とりあえず下には誰もいなかったため、誰かをケガさせたりすることはなくてよかった。
もうこんなアホなことは二度とするまい、と心に誓うのであった。
こうやって少しずつ人は大人になっていくものである。
この自転車はクラコウという次の町で弔ってあげた。
こうやって、間抜けなチャレンジは幕を閉じた。 未熟な旅はとまらない。

最後に今の僕からのメッセージです。
何かに挑戦すること それが外から見たら何の意味もないことでもいい 生産性のないことでも、世間一般の人から見たらバカだと思われることだっていい
それが自分の夢中でやりたいたいことだったらやってしまおう
それに挑戦することのワクワク、そして実行する楽しさは何ものにも変えられない輝き
それにていい結果がでればなおさらラッキーだし自信にも繋がる、何よりもその達成感は最高の快感だったりする。 仮に上手く行かなかったとしても挑戦するという一歩を踏み出して頑張ったという事実は残る、そしてそこから学べることは沢山ある。
だから、何でもいいから、やりたいことにチャレンジ出来ることってのは何よりも価値があることだと思う。
もしそんなものがあれば、やってしまおう!!
僕はこれからも、自分の出来る等身大のことで、ワクワク出来ることがあれば、それに挑戦することはやめないと思う。
もちろんこんなマヌケなことは二度とやらないけれど。
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