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教育関係の先進地の視察で関東へ。

更新日:8月1日

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7月23日から25日までの3日間、会派にて関東方面へ教育に関する視察に行ってきました。

メインテーマは「教育関係」。少子化が進むなかで、どう地域と学校が関わりながら、未来の子どもたちの学びをつくっていくのか。

八女市でも避けて通れないこのテーマに、他の自治体はどう向き合っているのかを知る旅でした。特に僕は議員でありながら、これから息子が学校に通う年齢になってくるわけなのでかなり自分事として向き合える視察研修でもありました。


①茨城県守谷市

「ニューノーマル教育Ver.3」〜未来を見据えた公教育〜

最初に訪れた守谷市は、いろんな意味で衝撃的でした。

指導部の職場環境の改善なくして良い教育は成り立たない。「先生の負担を減らしつつ、子どもたちの学力も伸ばす」ことを本気で追いかけています。

中でも印象的だったのが「遊々タイム」という取り組み。他よりも昼休みを長くしたり、下校時間を早めたりして、子どもたちが“余白”をもって過ごせるようにする仕組みです。その分、カリキュラムの都合で夏休みは少し短くなるけど、全体としては子ども主体の時間設計がされていました。


さらに今年から、小学生にもAIの使い方を教え始めたとのこと。しかも、教えるのは専門家ではなく、一般的な研修を受けた担任の先生。「テストの点をとるための暗記」ではなく、「考える力」を育てる教育を目指しているそうです。

AIを使えるようになってしまえば宿題など“ズル”できてしまうだろうけれどそれはどう考えてますか。(僕だったら絶対やってるだろう)

と質問しましたが先生側もそれを前提に、AIの限界を上回るような問いを用意しているとのこと。

まさに、知恵と知恵の勝負。公立学校でこれを言い切るのはすごいと感じました。

また理科・音楽・図工といった教科は、小学校でも中学と同じく専門の先生が教える体制になっており、校内には「フリースペース」と、そこで子どもたちを支える専任の指導員が常駐。発達障害の早期発見・ケア体制も意識されていて、いわば公立校のなかに“ちいさな自由”がたくさんある印象でした。


あと、会話できる可愛いぬいぐるみのようなAIロボットが学校に導入されてます

それも含めて、「おお、ここまでやるのか!」と感心しっぱなしでした。

また、学校には完全ボランティアで関わってくれる地域の人たちもいて、校舎の清掃から外国籍の子どもたちへの対応まで、外部の力を積極的に受け入れているところも好印象でした。本当に無償ボランティアだそうですが、それでもたくさんの応募があるという事に感銘を受けました。有償ではなく無償だからこその価値というものですね、もちろん行政側からすればそれに甘んじている部分もあるので必ずしも良い事とは言えない部分もありますが、、でも生徒達にとっても先生だけでなく多様な大人と触れ合えるのはとてもいいことだと思います。




② 茨城県境町

大胆な投資と戦略的な仕掛けで、まちと教育を同時に育てる

境町は、ある意味もっと“攻めてる”自治体でした。

25年間家賃6万前後の家に住んだら家がもらえるというスキームを作っていることにより、そこから移住定住が促進されています。

それから英語教育に力を入れているとして、有名な所でもあり、ここに訪れる前から僕も境町のことは聞いたことはありました。

フィリピン・マリキナ市と姉妹都市提携していて、なんとそこから直接先生を呼ぶことで人件費を抑えるというスキームを構築。行政間でダイレクトに教育資源を動かしてるあたり、もう民間企業並みの発想です。

しかも、一般的にダサいといわれたりもする体操服が有名ブランドとのコラボで、めちゃくちゃカッコいい! これだけで子どもたちの意欲が変わるでしょう。


それだけじゃなく、医療費は20歳まで無料をPR。八女市は18歳までですが、境町は「どうせ19〜20歳は地元を離れる層が多いから」と戦略的にあえてそこをカバー。コストは少ないけど、移住を後押しする効果は大きいという、まさにコスパ重視の一手でした。


さらに、自動運転の車がもう普通に町のなかを走ってるので実際に試乗しました。

速度はゆっくりだけど、交通弱者のお年寄りにはすごく助かってるとの生の声も聞きました。スピードとは必要ない、安心安全が必要だと。

八女のような広域市ではなかなか難しいけれど、コンパクトな町だからこそできる取り組みだなと感じました。


そして何よりすごかったのが、町のブランディング戦略。東京オリンピックから買い取ったという本格的なローラースケート場、サーフィンプール、さらにはスキージャンプ台まで建設中(ここは賛否あるらしい)。本格的なプロアスリートを目指してるお子さんのいる家族をターゲットにした移住定住誘致です。「ここで育った子が、ここに誇りをもてる町にしたい」そんなメッセージを感じる視察でした。

何と言ってもやはり市長の大胆な発想、まるで自治体を経営するような、、、これに尽きるなと強く感じさせられました。

ちなみに境町も守谷市もふるさと納税をどう集めてどう使って行くかがカギという事だそうです。



③ 埼玉県行田市

義務教育学校への再編と地域との向き合い方

最後に訪れた行田市では、小中一貫の「義務教育学校」への移行が進んでいました。背景にはやはり生徒数の減少があり、教育環境を維持するための選択でもあります。

八女でも矢部川清流学園や北ゼイ学園などを始めとして、今後の学校の存続のためとして、あり方としてこの可能性を考えないといけない部分もあるだろうとの考えからここを訪れました

ただ、やはり八女は東西にかなり広く、徒歩でも自転車でも通えないように住民が点在しています。しかも西は学校が過密状態にありながらも東は過疎状態にあるというかなり頭を悩ませる問題があります。

行田市のようなコンパクトな自治体でもすんなりとはいかない現実もあり、一部には反対の声も。とくに、先生側の負担が増えることを心配する意見が強く、学校運営の現場と制度設計の温度差をどう埋めるかは、どこも共通の悩みかもしれません。それでも、行田市は地域への丁寧な説明と対話を積み重ねながら、前に進んでいるように感じました。



【考察】

英語教育強化の波に自治体としてどう向き合うか、、僕なりの考え。


さて、今回の視察でどの自治体もかなり英語教育に力を入れているのが印象的でした。外国人講師の増強、AI教材、オンライン授業や海外訪問プログラムなどの海外との連携。まさにグローバル時代への備えです。


それらの力の入れ方は大変魅力的とは思うけれど、僕の考え方はこうです。

英語は大事。だけどそれよりもっと大事なことはいっぱいある。


今ではおそらく八女で最も国際交流協会してる人であり、たまに通訳や臨時で英語講師も頼まれたりもするくらいではありますが

僕自身は、学生時代に英語がまったくできませんでした。興味が持てなかったし、テストはいつも赤点。でも20代後半に海外を放浪して、「英語ができないと何もできない」環境に身を放り投げたことで、英語できるようになりたいという“自分の強い意志で”学ぶようになりました。ちなみに語学学校などには通ったことはない完全独学です。


そして海外放浪中だけでなく帰国して八女に移住してきたあともこれまでずっと毎日毎日国際交流をしています。

それは実を言うと、どうしても細かい配慮が求められる日本人の中にいるより外国人といる方が気楽だからという理由もありますが、、、

TOEICや英検は受けたことないけれど、今では妻との会話も、民泊ゲストとのやりとりも、ほぼ英語です。ヨーロッパの非ネイティブたちのグループの中に入っても普通にやり取りできるし、自分の得意分野であれば、ネイティブ相手でも堂々と議論ができます。

これは学校教育の成果ではなく、必要に迫られた体験から生まれた学びです。


「なぜ学ぶのか」がない英語教育に、意味はあるか?

僕の周りや天空の茶屋敷に訪れる人には高いレベルで英語ができる日本人がかなりいるので、その人達とよく議論することがあるけれど、そもそも英語教育だけでは不十分すぎると思ってます

たとえば力を入れてる学校だとしてもせいぜい年間200〜300時間程度の学習で、それだけでは全く話になりません。本気で英語を身につけるなら最低でも年に1000時間の勉強と英語環境に身を置かないと。

とはいえ、旅行に困らない程度や意思疎通の会話はできるようになると思います。でも、それがグローバルで通じる人材かと言われたらそうでもない、そして「人とつながるための言葉」になるには、受け身ではなく主体的な、もっと深い動機が必要です。


実際に僕は英会話教室の講師のような形で頼まれたりしたこともありますが、どうしても子どもたちの多くが受け身であること、“本人のやる気よりも親に連れてこられている理由が大きいと感じさせられて「これ、親のお金の無駄じゃないかな…」と感じる場面もありました。


結局は英語教育に力をいれるよりも、英語を学びたいという本人の動機の方がよっぽど重要

・洋楽が好きだからでもいいし

・外国人と付き合ってみたいでもいいし

・日本に居場所を感じられなくて、海外の方が居心地がいいから自分を守るために海外移住をしたいという逆境的な動機でもいいと思います(←ちなみにこれ昔の僕です)


そもそも仮に英語ができたとしても、言葉はあくまで道具であり、中身が伴ってこそ意味を持つ。英語ができることよりも、「何を語るか」「どんな人間か」の方がはるかに大事だと僕は思っています。


英語教育は「移住政策」としては非常に効果的

とはいえ、英語教育が戦略として非常に有効だという現実も理解しています。特に子育て世代にとって、「この町に住めば最先端の英語教育が受けられる」というのは大きな魅力です。移住定住のフックとして、英語教育は間違いなく強力なカードになります。

そしてみんながみんな意思疎通できるくらいのカタコトの英語を喋れるようになれるというのは社会全体のコスパとしてはかなりよいと思います。訪日外国人にとってはかなり住みやすくなりますね


僕が目指したいのは「英語を教える町」ではなく「英語が必要になる町」

僕が本当に目指したいのは、英語を“教える”町ではなく、英語が自然に使われる環境がある町、グローバルな出会いと可能性に触れることができる町です。

八女でたとえるならば――

  • 民泊を通じて外国人と交流できる(うちみたいな場所)

  • 茶畑で働く留学生と自然に会話する(山村塾のように)

  • 地元のおじいちゃんと海外ボランティアが同じ空間でお茶を飲む

確かにそれらと混じわれる事ができるのは一部の人たちだけかもしれないけれど、こんな日常があることにより外国人との交流が楽しい。そして「英語を使いたくなる気持ち」が育つんだと思います。


(ちなみにうちの子はこんな感じで山奥なのにグローバルな環境ですくすくと育ってます。無理に僕が押し付けることはしないけど、本人から海外や英語に自発的に興味を持ってくれたら良いな、と思ってます。)


グローバル化の時代だからこそ、日本人らしさが武器になる

そして最後に。グローバル化が進んだ社会の中では、“日本でも英語ができる人”なんて山ほどいます。昔よりも圧倒的にです。

そしてみんなの英語力が伸びるスピードより何より、昔よりも格段に良くなったテクノロジーによる翻訳レベルもさらに上がってくるでしょう、ドラえもんの翻訳コンニャクが完成するのもそんなに先ではないと思います。


そうなったら、その中で信頼されるのは、勤勉さ・責任感・思いやり・礼儀――ありとあらゆる業種のスキルにおいて日本人の精密さと丁寧さって間違いなく世界でトップに秀でてるのでそういう所を中途半端なグローバル教育で失って欲しくない。

そういった“日本人らしさ”を持っている人の方がが今後は海外にでても愛される人材になる、結果的にグローバルに強い人材になると僕は考えてます。



まとめ

・今回の視察では「英語教育と地域戦略」が大きなテーマだった。

・自治体としての英語教育の強化は移住定住政策としては魅力的、だけどそれよりも自分で英語を学びたいと思える体験や海外に興味をもつ動機づくりが鍵だと僕は思う

・八女でも、英語を自然に使いたくなるような暮らしをどう作るかを考えていきたい。

・学校で英語教育に力をいれるよりも、日本人としてのアイデンティティだったり好奇心やチャレンジ精神を育てる教育の方が重要と僕は思う



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👣 福岡県八女市の山奥にて、宿・お茶・言葉のある暮らしを続けています。


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八女の山奥の集落の一番上にある茶畑に囲まれた古民家。目の前に絶景が広がり、家の裏には壮大な棚田が広がる。もともとは長年空き家だったその場所に旅人が移住し、地域とともに再生させました。今ではホームステイ型家族経営ゲストハウスとして稼働しています。メディア露出も多数


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筆者が宿業をやる傍らでお茶の生産もしています。限界集落に移住してきたものが耕作放棄地を譲り受け、地域の人に学び、農薬などは使わない方法で、訪れてくる人とともに汗をかきながら生産しています。そんな物語のある山奥の自然豊かな所で育った八女茶です。



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『海外放浪 × 田舎移住』の物語。社会不適合者だった自分が、20代でドロップアウトしながらも、紆余曲折の末に“天職”と感じられる今の暮らしにたどり着き、家庭も持つようになった——そんな流れをつづっています。 福岡の出版社より出版いただきました。

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