日本が観光を安売りしていることによるしわ寄せ
- Jiro Sakamoto
- 10月6日
- 読了時間: 9分
更新日:5 日前
こんにちは、八女市議会議員の坂本治郎です。
僕が海外放浪していた2010~2014年ごろ、よく外国人旅人からよく言われていたのは
『I want to go to Japan but too expensive,,,,』
(日本に行きたいけど物価がなぁ~)
ていわれてたのが今となっては信じられないことに、日本のコスパの良さがSNSによってものすごいスピードでシェアされ、『世界中で日本に行こうブームが来ている』とのことです。
それを受けて京都では宿泊税が更に改正して上がる方向になっているようで、色んな声があるようです、しかしですね、、、これは一大観光地となってしまっていることを考えたら、それでも世界的に見たらかなり安いのです
(参考資料)
ちなみにですが福岡県の宿泊税に関しても議場でしっかりとおかしいと思う点に関して声を上げました。ここに関しての僕の意見は『宿泊税はしっかりとっていいけれど、観光地でも何でもない八女のような田舎の安宿が国内最高税率になっている制度設計がおかしい』と言ったまでです。
改善の声をあげる必要があるというだけで宿泊税の存在そのものはけして反対ではないです。しかしまあこの京都の改正を受けてとりあえず福岡県の田舎の安宿が国内最高税率ではなくなります。
そして、、、これも定期的に議会でも指摘させていただいてることではありますが、八女の公共施設が安売りしてることによって起こりえる問題点、しかしこれは八女だけの問題ではなく、最近所要で関西及び奈良に行ったときに改めて国の問題だと気づかされました

(ちなみに今SNS上で奈良公園がHotな政治ネタになってますが、へずまりゅう議員や高市新総裁が言ってたような鹿に乱暴するような外国人は見ませんでした、もしかしたらへずまさんの影響力によってそういう人が減ったのかな、まあさすがに半日の滞在では分からないですね、、、、)
さて
今回は、日本がいかに安売りをしているか、世界の代表的な観光地と日本を比べてみました。テーマは3つ。①水族館 ②寺院 ③宿泊税(観光税)いずれも「その国を代表する観光の顔」です。
🐋 第1ラウンド
美ら海水族館(沖縄) vs セブ・オーシャンパーク(フィリピン)
施設 | 入場料(大人) |
沖縄・美ら海水族館 | 2,180円 |
セブ・オーシャンパーク | 800ペソ(約2100円) |
「物価の安い国」と言われるフィリピンとほぼ同額です。しかも美ら海水族館は世界有数の規模と展示内容を誇りますので規模感は格上です。
フィリピンよりも断然賃金が高いはず日本は“観光の顔”である施設まで安く設定してしまっているのが現状です。
🛕 第2ラウンド
奈良の大仏(東大寺) vs ワット・ポー(タイ・バンコク)
寺院 | 拝観料(大人) |
奈良の大仏(東大寺) | 800円 |
ワット・ポー | 300バーツ(約1,200円) |
ここに関してはどちらも観光大国の国内最大級の仏像がある施設ですね。
タイは日本よりも平均賃金が3分の1ほど。それでも外国人観光客は1,200円を払って涅槃仏を拝観します。(オフィシャルには書いてないけどタイ人は無料だそうです)
一方、日本は世界遺産の奈良の大仏が800円。差額のぶん、寺の維持管理費は市民の税金で補われているという構造です。
🏨 第3ラウンド
国を代表する観光都市の宿泊税
京都(改正後) vs ローマ(3つ星ホテル想定)※どちらも1万円の宿と仮定
都市 | 宿泊税(1泊1万円の宿) |
京都(2026年3月改正後) | 400円 |
ローマ(3つ星ホテル) | 約960円(€6) |
国内最大の観光都市ですね、『オーバーツーリズムが代名詞の国をあげた観光地はベネチアじゃないのか?』という声もありそうだけどあくまで大都市という意味で比較対象はローマにしました。ベネチアの方が宿泊税は低く京都と同水準だけどベネチアは別に市内への入場料なるものがかかりますので結果的に京都よりも高いです。
ちなみにですが、総観光客数で言えば今ではローマよりもベネチアよりも京都の方が格上のようです。
そして京都が今回宿泊税の値上げ改正しても、ローマの半分以下です。
💴これらは物価が高い国を引き合いに出したわけではなく平均所得を見ても日本より低い国ばかりです
(現在は円安でイタリアのみちょっと高いけれど)
国 | 平均年収(円換算) |
日本 | 約490万円 |
イタリア | 約530万円(円安で日本よりやや上) |
タイ | 約180万円 |
フィリピン | 約110万円 |
(参考資料)
👉 つまり、すでに世界でもトップ10に入りつつある観光立国になるのにもかかわらず、物価も賃金も日本より安い国の方が「観光価格の割合は断然高い」という逆転現象が起きています。
もう一つ僕が行ったことある比較例を上げるなら、マレーシアを代表する『キナバル山』よりも『富士山』の方が入場料は安くなってます。物価や賃金もマレーシアの方が安いのにですね、、、
更に、日本の国立公園はほとんどが入場料無料となっています。
🧩 日本の“安売り構造”が生むしわ寄せ
観光料金が安いのは一見ありがたいことに感じますが、そのコストはどこかで誰かが負担しています。
拝観料・施設維持費を市税で補う自治体
適正価格にできず薄利で苦しむ民間事業者
サービス過剰を強いられる観光に従事する労働者
そして、修繕・補修を背負う将来世代
観光客にとっては「安くて良い」でも、地域の中では“見えない疲弊”が進んでいます。その疲弊が当たり前になってもはや分からなくなってるのではないかと僕は思ってます。
☕️ 八女にも同じ構造があります
八女市でも、市税を投じて整備されたカフェや観光施設が民間のカフェ・飲食店と同じ価格帯もしくはそれより安い料金で営業している現状があります。
市税を投じて一見「地域の賑わいづくり」ですが、民間の宿泊施設やカフェなどの事業者からすれば、税金で作られた安売り施設は脅威になりえます。
片方ではその地区の一等地に市税で初期投資して、指定管理料などまでもらっている
片方では初期投資から何まで自己資金だけでやりくりしないといけない
これはおそらく八女だけではなく多くの自治体で起こってる事だと思います
そして、日本全体が社会主義的であり値上げに踏み切らない流れがあるからこそ八女市としてもなかなか値上げに踏み切れないものであるのは確かに理解できます。
とはいうものの、物事はシンプルな話ではなく、ここに関する反論ももちろんできる。八女で言えば『焚火の森キャンプ場』や『やべのもり』や『ダニエルイノウエミュージアム』に関しても外資を容易に進出させない防波堤にもなっている側面は確かにあります、ただでさえ今は外資への不安や風当りは皆さん敏感になってる所ですので、それらの存在を肯定すべき側面は確かにあります。
ここのさじ加減はかなり難しい、、、論理と現場感覚どちらも、本当にわかってる人ってどのくらいいるんだろうか、、、
行政が「安売り」すると民間が困る理由
儲け主義ではなく賑わい主義だろうから、公共的である必要があるしそれに準じた事業ではある背景があるため。補助金バックアップ前提のサスティナビリティ無視の値段設定を提示すると、→ 民間事業者は正当な価格を維持できなくなる。
観光客にとっては一時的に「安くてラッキー」でも、長期的には民間事業者の淘汰→地域経済の縮小につながる。
本来の目的(地域の賑わい、観光産業の活性化)に逆行してしまう。
八女の民間カフェやゲストハウスは、規模が小さいからこそ「付加価値」や「人とのつながり」で勝負している。
そこに公共が安売りで殴り込むと、地域全体の空気が「安ければいい」に引っ張られてしまう。
その結果、持続可能な観光の芽を潰す危険性がある。
あるべきだと思う姿
公共施設は「相場より高め」でもいいくらい。むしろ民間を引き立てる料金設定にすべき。
まずは市税の投入を卒業できるような売り上げを目指すべき、顧客の対象が外にある観光施設であれば市民かどうかの料金区別の議論はあってしかるべきだと思う、というのは例えばダニエルイノウエミュージアムやそれに付随して近くの泳げる川を整備して外からの人がたくさん来るようになったのはいいけれど、どうしても行政サービスが届かないエリアのゴミ掃除をしているのは地元の人たちだったりするからです。外の人がなるべく多めに税金を落とすようにして地元に還元できる構造を作らないと。
税金で整備した施設は、「民間ができない体験」「市民が享受する文化・学びの場」など役割の違いを目指していくべき。伝統工芸館の和紙体験やお茶の文化館や星野文化館の存在はかなり良いと思う。しかしそこで宿泊施設や茶寮をやってたりアイスクリームを売ったりしている以上、それに準じたことをやっている民間の事業主はそこの値段はさすがに意識してしまう、だから安売りされたら困るのです。
まとめ
市税を投じて整備された施設が、民間のカフェや宿と同じ土俵で“安売り競争”をするのは論外です。公共施設は民間事業者ができないこと――市民の学びや文化的な体験、地域資源の継承に力を入れるべきで、民業を圧迫するのではなく、外資を抑制する防波堤の役割を担いつつも民間を引き立てる存在になるような経営を目標としていくべきだと思います。
そして、今回引き合いに出した京都・奈良・沖縄のような観光先進地が、日本全体の観光を「安さ競争」から「価値競争」へと導く方向に舵を切ることを期待しています。
もちろん、値上げすれば地元市民の暮らしには痛みが伴う。けれど、これはもうこの時代に人気観光地になってしまった宿命としか言えません。市民割・観光客料金の区別を設けたり、そこから市税を緩和させたり、民泊を適切に規制することで、暮らしと観光を共存させる道はあるはずです、そこは政治家の手腕です。
観光を“社会の上に乗るビジネス”ではなく、“社会の中に溶け込む文化”として育てていく。
その第一歩が、「安売りをやめる勇気」だと思います。
ここら辺は高市新総裁に大いに期待するところです。
まず分かりやすい所で言えば、日本人外国人問わず、海外に行くときの入国税or出国税など、せめてオーストラリアくらいまで引き上げてもいいんじゃないかなと思います。そこに関しても日本は安すぎます。海外に行ける人は時間やお金に基本的に余裕がある人ばかりなので、、、もちろん個人的には僕もそうなったら困るけど、社会全体のことを考えたらそれが適切だと思います
ちなみにこんなことを書いてると
『そんなこというなら安宿やってるお前はどうなんだ??市議会議員の報酬で安定してることをいいことに八女の資源を安売りしてるんじゃないのか??』
と言われそうですが僕は安宿が好きなので、そこは賑わい創出につながりえるので、今でも天空の茶屋敷ははじめっからずっとドミトリーの超安宿の設定は残しています。そこに関しては実体験、自分の物語からのこだわりです。しかしプレミアム料金の部屋だったり八女茶体験ガイドなどでプレミアム価格を作ったりして差別化してそちらに関しては今後の料金も様子を見ながら少しずつ上げて行くような方針をとっています。
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