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抹茶ブームは伝統を守ってるのか、それとも壊してるのか

こんにちは、八女市議会議員&天空の茶屋敷代表の坂本治郎です

依然として世界的な抹茶ブームが続いておりますが、そこに関して現場から見える目線として改めてつづります。



僕が山奥でお茶を作りながら海外のお客様を受け入れていても、その勢いをますます感じます。抹茶ブームに乗じて八女の観光客数も伸びました(今回の一般質問で触れましたが、まだまだ課題はありますが)


宿泊だけじゃなく、お茶ツアーや体験などの問い合わせは年々増え、うちは抹茶を主でやってるわけではないけれど最近では海外の抹茶カフェや飲食店からの問い合わせも止まりません、毎日のようにインスタグラムのフォロワーも少しずつ増えております


つい最近、フィリピンからの問合せもやっと増えたかな

国柄もちょっと違ってて、タイから日本に仕入れに来るかたがたはかなりレベル高いものを求めてくるけれど、フィリピンの彼らは素人感があってカワイイ、まだまだ市場が発展途上中なのでしょう

(関係者の方々、フィリピン市場開拓の際は是非うちの妻を使っていただければ、、、)



このブームの始まりは、Instagramの普及とともにアメリカで広がった抹茶人気だったように思います。鮮やかな緑色、健康的なイメージ、日本文化との結びつき。SNSとの相性は抜群だった。そして現在の世界的な爆発はTikTokによる影響が大きい。特にタイをはじめとする東南アジアで人気が急拡大し、その波はアジア全域へと広がっているようです。



抹茶は中国発祥、日本発展

ネット上では

「抹茶はもともと中国発祥だ」

という主張もよく見かけます。これは勿論正しいです。

茶の文化そのものは中国から伝わったものであり、粉末茶の歴史も中国に存在していた。

しかし現在世界中で愛されている抹茶文化を築き上げたのは日本です。

茶道の発展、生産技術の向上、品質管理、ブランド化。


歴史的偉人で言えば村田珠光や千利休などが有名ですが、長い年月をかけて磨き上げられた結果として、現在の抹茶が存在しています。

(ちなみに中国が起源を主張してドヤるなら、個人的にはお茶利用のさらに古い起源は中国南西部から東南アジアにかけての山岳地帯に暮らしていたタイ人の祖先の民族にあるのではないかと思っておりますが。)


このブームで得をしている人

まず恩恵を受けているのは海外に販売できる事業者です

輸出ルートを持つ企業や農家は大きなチャンスを得ているでしょう

そして、お茶農家の収入も改善傾向にあり、「大儲け」というよりは、もともと厳しかった経営環境が少し改善したという感覚に近いかもしれません。


一方で苦しんでいる人もいる

抹茶ブームは良いことばかりではありません

まず茶道で抹茶を使う人たち。

価格上昇や品薄によって、これまで当たり前に購入できていた抹茶が手に入りにくくなってしまいました。したがって直接お茶屋さんとのつながりなどから守ってもらっているというケースも聞きました。


そして伝統的なお茶屋さんも影響を受けているということです。海外販売に積極的でない店舗は、原料価格の上昇だけを受ける形になっているから

そして多くの農家が煎茶から抹茶原料へと生産を切り替えることにより。

その結果、今度は煎茶の供給不足が起き、お茶全体の価格が上昇し。

円安やインバウンド爆増に乗じて海外に売ることが苦手な伝統的なお茶屋さんもかなりキツイというし実際に老舗が倒産したというニュースもありましたね



本物の抹茶と大量生産品

さらに興味深いのは品質の問題と言われてます

シンプルに『値段が倍になりクオリティが半分になった』という現場の声を聞きますが


「そもそも抹茶って何なの?」と思われる方もいるかもしれません。

実は意外なことに、日本には法律上の明確な抹茶の定義が存在しないそうです。


茶業界では一般的に、被覆栽培した碾茶(てんちゃ)を粉砕したものを抹茶と呼ぶことが多い、非常に手間がかかる。一つの石臼で40g程度の生産量と言われています

しかし実際には、煎茶を粉末にしたものや食品加工向けの粉末緑茶なども市場には数多く存在しているという事です。


海外に行くと、この傾向はさらに顕著で。

僕らが思い描く抹茶は、碾茶を原料として石臼で挽き、茶道文化と結びついていること

といった要素を含んでいるけれど、海外の多くの消費者にとっての抹茶は、緑色の粉末であり、健康によい、ラテやスイーツに使えることが重要であり、必ずしもその原料や製法までは意識されていないようです。


もちろんそれが悪いという話ではなくて。

抹茶ラテから日本茶に興味を持ち、そこから本格的な抹茶や日本文化に触れる人も多いでしょう。ただ、この認識の違いは今後ますます大きな問題になるかもしれません。

今後は中国や東南アジアで作られた粉末緑茶も「Matcha」として流通していくでしょう。


その時、日本は何をもって抹茶と呼ぶのか?

何を守り、何を広げていくのか?

歴史の起源を巡る議論だけではなく、「抹茶とは何か」という定義そのものが問われる時代が来るのかもしれません



一例として「抹茶が不足してるから持ってきてあげたよ、これを売りなよ」という老舗のお茶屋さんにミキサーで粉砕した質の低い粉茶をもってくるという失礼というかマヌケ極まりない外国人もいたという声も実際に聞きました、、、、



高品質抹茶のジレンマ

例えば八女の名門である 星野製茶園 の抹茶は、海外から来る方にも非常に高い評価を受けています。うちに来る八女抹茶を求めてくる人は開口一番に星野製茶園のことを言ってきますし、『タイのお茶好きは八女、星野ってものすごく有名だよ』とも聞きました


もちろん高品質を維持する以上、生産量には限界があります。

結果として品薄状態が続き、メルカリなどの転売市場で5倍~10倍もの価格で取引されていたりもする、、、(正直腹が立ちます)


「もっと値上げして儲ければいいじゃないか」

うちに来る外からの利益最優先主義の人からはそう言われることもあります。


しかし長い歴史を持つ企業ほど簡単には動けません。

何十年も支えてきた顧客との信頼関係があるからです。

短期的な利益だけを追えば、その信頼、未来の利益を失う可能性もある。


伝統か、市場か

抹茶ブームを批判する声もききました、日本文化を商業化しすぎているという意見です。

とあるお茶屋さんからみても『みんなやっぱり儲けに走ってしまうんだ、、、』と


伝統的な良いものを作ってた方からすれば、本来の抹茶とは言い難い品質の商品も市場で出回るようになることも納得いかない部分もあるでしょうし

「八女抹茶とは何か」を明確にするための定義づくりを進め、他産地がどうであれ、八女としては厳格な品質基準を設けてブランドを守っていこうという議論が行われていたりもしたけれど、被覆を行わない秋碾茶やモガ茶などに関わる事業者から反対意見が出始め、世界的な需要拡大と市場の変化の中で、品質や伝統よりもビジネス上の事情が優先される場面も見られるようになり、業界全体が難しい判断を迫られているという声も聞きました


勿論こういった気持ちや目線も理解できます。

しかしながら一方で、日本が供給できなければ、中国をはじめとする他国が世界的市場を獲得していくだけである、、、、というかもうなっている


・・・


歴史の起源を主張する中国と、今の世界市場まで昇華させた日本。

その整理は果たして一体、今後どうなるんだろう




そもそも東南アジアでは抹茶があまり作られないのか

海外の方からよく聞かれる質問の一つにこういうのがあります

「タイや東南アジアでもお茶は作っているのに、なぜ抹茶は日本が強いのですか?」


東南アジアでもお茶はたくさん作られています

インドなんかは世界で2番目の生産量だし、特にマレーシアのキャメロンハイランド、タイ北部やベトナム北部の山岳地帯では高品質なお茶の生産が盛んです


それなのにSNSではそのインドから日本の抹茶を求める投稿もよく見ます

(個人的には、どんなお茶でもいいから自国の緑茶を粉砕してラテにしたらいいのに、、、と思ってしまうけれど、大衆はそれでいいかもしれないけれど、やはりこだわる人はこだわるようで)


しかし現在のところ、世界的に評価される抹茶の生産地は日本、中国、そして一部韓国に限られています。


理由の一つは気候です。

抹茶の原料となる碾茶(てんちゃ)は、冬を越えた新芽の力を利用して作られる。

年間を通して高温な地域では、お茶の木が休眠しにくく、日本のような品質を再現するのは簡単ではありません。つまり東南アジアではうまみが弱くなってしまう


そしてお茶の品種、茶ノ木には主に中国種とアッサム種とあるけれど

日本の抹茶文化を支えているのは、中国種(Camellia sinensis var. sinensis)を中心とした品種群でもある。東南アジアで広く栽培されるアッサム種(var. assamica)は紅茶向きの力強い風味を持つ一方、日本の抹茶や玉露は中国種特有の繊細な旨味を活かして発展してきたと言われてます。


また、抹茶は単なる粉末茶ではありません。

被覆栽培によって旨味を引き出し、蒸し、乾燥し、茎や葉脈を取り除き、石臼でゆっくりと挽く。そうした何百年にもわたる技術の積み重ねによって成り立っている


つまり抹茶の価値は茶葉だけではなく、生産技術そのものにあるものです。


僕が注目しているのは東南アジアよりもやはり中国。

中国にはお茶文化や抹茶そのもの起源とブランド力があり、広大な土地があり、巨大な市場がある。さらに抹茶生産にも力を入れている。


もし中国が日本の8〜9割の品質を、半分の価格で大量供給できるようになれば、カフェや食品加工向け市場では十分な競争力を持ち勝てなくなってしまうでしょう

だからこそ今の抹茶ブームは、日本にとって大きなチャンスであると同時に、大きな挑戦でもある。


伝統を守るのか市場を取りに行くのか、、、、、



八女はどこへ向かうのか

当然、八女に住む者として、良いものを作り続ける伝統も応援したいし世界市場へ挑戦している事業者も応援したい。


品質を守る人も必要。市場を開拓する人も必要。

どちらか一方だけでは産地は生き残れない。


抹茶ブームは単なる流行ではなく、お茶産業そのものの構造を変えるゲームチェンジになりつつある。


伝統と市場。品質と量産。

国内需要と海外需要。

そのバランスがどうなっていくのか。


議員として

では、市議会議員として何ができるのか。

正直なところ、市が抹茶を作るわけでも売るわけでもないのでできることは限定的です。

市としても八女ブランドや地域経済の発展は重要なテーマです。しかし、この抹茶ブームは世界規模の市場変化であり、一自治体が直接コントロールできるものではありません。補助金や行政支援だけで解決できる話でもないでしょう。


しかしながら、僕は茶農業にも携わり、宿泊業で海外のお茶商人や抹茶のカフェオーナー達と日々接している立場であるため、今この市場で何が起きているのかをかなり近い距離で見ることができています。


そして日本人サイドでは最近では、「お茶ツアーをやりたい」「高級なお茶関連の民泊を作りたい」といった相談を八女にも住んでない、住む気もないであろう方から受けることも増えました。

もちろん、それ自体は自由な経済活動ですし、優秀な事業者や新しい挑戦が入ってくることは地域にとってプラスになる面もあります。

しかし一方で、この抹茶ブームに便乗して利益だけを求める動きが増えるのであれば、少し違う視点も持たなければならないと思っています。


儲けたいという思いは勿論否定しませんが、そういう儲けたいだけで事業をするのであればせめて優先されるべきだと考えるのは、まず八女で暮らし、八女でお茶を作り、八女で商売を続けてきた人たちです。

ブームによって地域の価値が高まることは歓迎すべきことですが、その利益が地域の外へ流出するのはいい事ではありません


だからこそ、現場で何が起きているのかをしっかり見ていきたいと思います。

茶業界ではどのような変化が起きているのか。

観光の現場ではどのような課題が生まれているのか。

利益は地域に残っているのか。

伝統や品質は守られているのか。

そして、そうした現場の声や知見については積極的に発信し、地域へ還元していきたいと思っています。


必要に応じて関係者から話を聞き、市として問題を認識できているのかを確認し、必要であれば議会の場でも声を上げていきたい。


抹茶ブームは当然八女にとって大きな追い風です。

それぞれのお茶屋さんでも英語も必要になるだろうし世界を相手にしたビジネスチャンスが身近な所にあるわけです、優秀な人が八女に流れてくるのはいいことですし、地元のお茶屋さんでは外に出て行った人が戻ってくる動きも聞いたりしています


だからこそ、この機会を一時的な流行で終わらせるのではなく、地域の未来につながるものにできるかどうかを見守っていきたいと思う次第です






 
 
 

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