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放浪は誰にでもできる自由ではなく基盤を持つ人だけに許された特権

更新日:9月16日

こんにちは、放浪アドバイザー&天空の茶屋敷のお父さんのジローです。


13年前、フィリピンの島での移動はこんな感じでした

時々、若者から「(貯金がないけど)海外放浪したい」という相談を受けることがあります。それも年単位の世界一周。


僕自身、長い放浪の旅を経験した立場から言うと――

それは基本的には「論外」です、しかし例外もあります。


なぜなら、放浪は“誰にでもできる自由”ではなく、基盤を持つ人だけに許された特権だからです。



放浪が可能になる前提条件


  1. しっかり働いて貯金していること 

    最低限の生活基盤がないと、旅はすぐに詰みます。

    ノマドワーカーとか働き方がまだ自由じゃなかった僕らの時代は数百万単位で貯金をして脱サラして1~2年くらいで一気に世界一周するのが一般的でした。

    働き方が自由化してなかった時代、これができるって結構な勇気だったと思いますので、色んな勇者様たちと友達になり、リアルドラクエをしてました。


  2. 倹約を楽しめる気質があること 

    1が出来ているという事は2もだいたいセットでついてくると思うけれど。いわゆる節約力ですね。「お金を使わない=我慢」ではなく、「工夫こそが豊かさ」と感じられること。交通費を削ってひたすら歩くとか寝袋一つでどこでも寝れるタイプは強いです。全部自炊、タクシーなどは乗らないで歩いて町並みを楽しむ、長距離移動はヒッチハイク、野宿上等、旅中に現地人と仲良くなった人の家のソファーに転がり込むなど

    僕自身も放浪の中でこの感覚はどんどんレベルが上がってました。


  3. 場所に縛られないスキルを持っていること 

    1と2がない場合は特殊スキルが必要です。

    現代の文明の利器、ライティング、SNS、プログラミングなど。場所にとらわれずに稼ぐ力があれば放浪と生活を両立できます。僕らの時代にはこれをやってる人はほとんどいなかったのでこの点は今の人達が少し羨ましくはあります


  4. もしくは宝くじに当たったり家が裕福であること 

    1,2,3がなくてもこれがあればイケます。ここに関しては説明不要ですね


  5. 信用をもって未来で稼ぐor社会に還元するお金を前借できる人

    クラウドファンディングで資金を集める人もここに該当すると思いますが。旅の資金を親が貸していたりするケースです。旅の価値ってのが社会に浸透してるのか、西洋人にはこのタイプが結構散見されました、自分も楽しかったから息子にも是非という人が一定数いるのでしょう。しかし僕だったら息子のことを思ってやるなら僕なりの金融教育とハングリー精神が育ってほしいからこの理由では出資しないだろうと思います、僕もそんな出資は受けなくて自分で何とかしたから。後述するお金がなくても海外放浪する方法などで、そのくらいのことは自分で何とかする強さと計画性を持ってほしいです。




僕の場合は1と2の資質がずば抜けてたから実現できたのです

高校卒業してから自衛隊6年、周りの人が誰もやらないレベルで貯金していたし

バックパッカーはみな倹約家だと思いますが、その中でも僕は群を抜いて倹約家だったと自負してます。

基本は超貧乏旅行者、ウユニやマチュピチュ、パタゴニア、北米の国立公園など一生に一度レベルで行くべきところはしっかりコストをかけていた感じで資金分配していました、当時の円高時の物価で年間100万くらいでした、今なら同じレベルでの旅なら200万くらいかかるでしょう。



現実的に「論外」な理由

  • 貯金も仕事の基盤もなく「海外で安く暮らしたい」と出るのは危険。

  • 生き抜くために「物乞い」や「不法労働」に流れれば、それは旅ではなく“生存の苦しみ”です。

  • それは「旅」ではなく「逃避」に近い。

    (しかしこれらは社会的には良しとされないかもだけどその景色もまた格別なのは事実ではある、まあ社会的にやっちゃいけないことも若気の至りという言葉もあるのでそれは自己責任で)

クラウドファンディングで資金を集めようとする人もいますが、あれは「例えば300万が目標であれば300万の商品を売るスキル」(人としての魅力だったり人脈だったり企画力だったり)がある人だから成立する話です。高校生や大学生なら「挑戦」としての魅力の意味もありますが、これまで貯金できるチャンスがあったはずのいい大人が「お金がないから放浪資金をください」では、やはり違和感が強いでしょう。



『放浪しちゃえば論』の功罪

高橋歩さんなどがその道の有名人ですが、かつて僕自身も「旅に出ればなんとかなる」と誰かれ構わず周りの人に吹聴していましたが今では人を選んで吹聴してます。

確かに、

  • 飛び出せば世界は広がる

  • お金をかけなくても旅はできる

  • 苦労も楽しみに変えられる

こうした事実は、希望を与える大きな功績があります。

でも同時に、「お金がなくても放浪できる、そして放浪すればなんとかなる」と表面的に受け取る人も生んでしまう。その結果、準備もなく、現実逃避として旅に出て苦しむ人が出てしまう。これが「功罪」の“罪”の部分です。



それでも「逃げること」には価値がある

ただ、最も大事なのはここです。もし本当に死にたいくらい辛いなら、ぜひ逃げてほしい。

それが「放浪=逃避」であっても、生きるための最後の手段なら価値があります。逃げた先で偶然の出会いや物語が生まれれば、そこから立ち直ることだってできる。逃げること自体を悪とせず「命を守る行動」として肯定したい。ここの線引きの判断はやはりご自身でお願いします。


ちなみに「逃げるための放浪」もあれば、「基盤を持って自由に飛び出す放浪」もある。

そしてもう一つ、旅そのものが生き方の軸になっている“旅中毒者”の放浪もあります。

こういう人にとっては、旅はぜいたくでも現実逃避でもなく「呼吸みたいなもの」。

そんな人は出ないと逆に心が死んでしまうのだから、迷わず出ればいいと思います。



放浪にはこういうポジティブな側面もある

ちなみにフラフラ放浪してた人達のその後は、、、ここは人それぞれだし僕も10年ちょっとしかウォッチできてないわけだし、まだまだ印象でしか答えれない部分もありますが

基本的に経済的に大成した人は事業がうまくいった人達に限ります。


事業がうまくいくのはそれなりの計画性や情熱や行動力や運を引き付ける行動が必要ですので、意外とそういうのはバックパッカー旅で培ったりもする部分もあります

既存の社会に復帰をするなら計画性も必要だし、放浪の果てにズレてしまった価値観を戻す苦労もあるでしょう

そしてお金とかではなく本当の豊かさを学んで帰ってくるケースも多いので、まあ日本は豊かだからだいたいは何とかなってるという印象です。

大成とまでは行かなくても自分が納得いく暮らしを切り開いたような人達は結構いるなという印象です。(僕もその一人です!)



20万円しかないなら、20万円なりの旅を

「貯金20万で世界一周!」は無理筋です。でも、20万円なりの旅の仕方はあります。

  • アジア1ヶ月 物価の安い国ならバックパッカーとして十分楽しめる。

  • 超極貧旅 ヒッチハイク、自転車旅、自炊オンリー、野宿オンリー、その目線にしか見えない深い体験ができると思います。

  • バスキング 路上で音楽やったり、書道や折り紙やおにぎりなど自分の作品を売ったり。僕もキューバの旅では、カードが止まり現金が尽きるという大ピンチがありました。生き延びるために、路上で即席の「マッサージ屋さん」を開業したのも今となっては旅の良い思い出です。昔だったら現地で皿洗いなど働かせてもらう人もいました

    (ちなみにこれらは法に触れる可能性もあります、僕の立場からはもちろん推奨はしていません、僕も生き延びるためにしかやってません)

  • ワーホリやJICAなどの海外ボランティア 働きながら滞在できる形なら、資金がなくても安心感があります。もちろんワーホリ人気国では年々飽和状態になりつつあるというのですぐに仕事にありつくためにがむしゃらに動く必要はあると思います

    僕はカナダワーホリで逆に1年で100万くらい貯金しましたが、当時もし知っていたらJICAにチャレンジしていたと思います。あれも海外で暮らして2年後には200万貯金ができるコースですし、2年間の生活の保障もあるのでそれを終えて旅するのもいいでしょう。



最後に

放浪は「誰でもできる自由や権利」ではなく、基盤を作った人だけに許される特権ですので今の僕は誰にでも推奨はしません。

しかしながら野良になる人生の良さや異国の路上で困窮するドラマから見える景色というのもあるから、そういう人は僕みたいな人のアドバイスを求めずに(金に困って親や周りの人に頼るようなことはないように)自己責任で是非突き進んでください。

そして命がしんどい時の「逃げる手段」としての海外放浪は全力で肯定します。

大事なのは――準備があるなら世界へ。準備がなくても「逃げるための旅」なら、それもまた生き抜く物語になります。




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👣 福岡県八女市の山奥にて、宿・お茶・言葉のある暮らしを続けています。


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八女の山奥の集落の一番上にある茶畑に囲まれた古民家。目の前に絶景が広がり、家の裏には壮大な棚田が広がる。もともとは長年空き家だったその場所に旅人が移住し、地域とともに再生させました。今ではホームステイ型家族経営ゲストハウスとして稼働しています。メディア露出も多数


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筆者が宿業をやる傍らでお茶の生産もしています。限界集落に移住してきたものが耕作放棄地を譲り受け、地域の人に学び、農薬などは使わない方法で、訪れてくる人とともに汗をかきながら生産しています。そんな物語のある山奥の自然豊かな所で育った八女茶です。



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『海外放浪 × 田舎移住』の物語。社会不適合者だった自分が、20代でドロップアウトしながらも、紆余曲折の末に“天職”と感じられる今の暮らしにたどり着き、家庭も持つようになった——そんな流れをつづっています。 福岡の出版社より出版いただきました。

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